
Web制作・デザイン・コーディングなど、クリエイティブな現場では「報連相」が欠かせません。
でも、そのフィードバックや伝えたい要件がうまく伝わらずに「えっ、そういうことじゃないんだけど…」とすれ違うこと、ありませんか?
この記事では、フィードバックが伝わらない原因と、それを解決する具体的な方法について、現場経験を交えてわかりやすく解説していきます!
フィードバックが伝わらないってどういうこと?
まず、「フィードバックが伝わらない」って具体的にどういう状況かというと…
- クライアント側で修正してほしい箇所が、まったく違う方向に直されてる
- 言葉で説明したのに「意図が伝わってない」と感じる
- 何度も同じやり取りが発生して、すごく疲れる
- 相手が萎縮してしまって、うまくやり取りが続かない
- 相手の態度や人間性含め、こちら側が委縮してしまう
…などなど。
言葉で伝えたのに、伝わってない。そして
なんでわかってくれないの?
といういらだちと拾うが残る。
これが「伝わらないフィードバック」の厄介なところ。
なぜフィードバックが伝わらないのか?
原因は一つではありませんが、よくあるパターンを挙げておきます。
①「抽象的な表現」に頼りすぎている
まずは相手(クライアント)の言い方の問題です。
NG例
- 「もっとパッとする感じで」
- 「全体的にカチッとした印象にしてほしい」
いや、わからんて…
って話なんですよ。
抽象度の高い言葉はクリエイティブな場では致命傷になりやすいです。
解決策
抽象度の高い言葉が出てきたときは裏を返せば
クライアントが過去に見たものやどこかで記憶した事柄が起因してそういうイメージになっていることがほとんどです。
どんなサイトのことを言っているのか。
をつかむために参考サイトを必ず送ってもらうようにしてください。
そのサイトの中のどのセクションのどんなデザイン、あるいはどんなアニメーションが気に入っているのか。
はたまたサイト全体の洗練された雰囲気なのかどうか。
ここで重要なのは相手の抽象度の高い言葉を私たちの共通認識である「形容」に変えてあげることです。
「もっとなんかおしゃれにしたい」だった場合・・・
- 英国風な
- 和モダンな
- 日本の浮世絵のような
- ゆっくりと
- ぐるんと(回転)
おしゃれという言葉の中に細分化される属性を見出します。
こんな感じで形容が入ることであとは色や全体の迫力加減がわかれば進み始めます。
形容が見えてくると「優しい感じ」がわかればアニメーションはフェードインで少し秒数を長めにしてゆったりした雰囲気を演出することが可能になりますよね?
「形容」意識してみてください!
② 前提知識の差を意識していない
自分の頭の中では「この前のMTGで話してたこと」と思っていても、相手には共有されていない場合があります。
まずこれが起きる原因として「専門用語」を使いすぎている可能性が考えられます。
人間は無意識のうちに知らない情報や言葉が入ってくると知っている言葉のみを救い上げて記憶するという何とも都合のいい生き物です。
なので
言いましたよね?
と思っても相手の記憶からは抹消されています。
そして逆もしかりです。
クライアントがいったことを私たちクリエイターが聞き逃す、もしくは覚えてないということもよくあります。
解決策(記憶違い)
会議は必ずレコーディングしておいてください。
レコーディングするといった瞬間に相手があまり好意的な反応をしない場合(Zoomに慣れていないクライアントはこういった反応する方が稀にいる)は、
「社内管理のために録画させていただきます」や
「制作工程における聞き洩らしを防止するため」など
録画する理由をひとこと添えてからレコーディングすると相手にも好印象です。
録画があることで、万が一最悪の場合として納品のタイミングで
絶対に聞いた覚えのない内容を「言った」と言われてもレコーディングデータが証明にもなったりします。
そして改めて要件確認の際に聞きなおすことで文章化し、相手に今日の議事録としてMTG終わりに送ってあげると相手方も確認になり、そういえば「言い忘れてた」みたいな事柄や、こちらとしてもう少し深堀して聞いておけばよかったという内容が浮き彫りになるため、次回MTGで聞いてもいいしメッセージで確認できることであれば聞いちゃえばいいってわけです!
解決策(専門用語)
そして専門用語を無意識に使ってしまう場合が多いと思いますがここはもうアンテナはっておくしかないです。
極論ですが相手のことを「赤ちゃん」だと思って言葉を選ぶといいです。
例えば「サーバー」「ドメイン」「画像書き出し」など私たちにとっては当たり前の言葉が相手にとっては聞きなじみのない言葉になります。
サーバーに代わる言葉があるかと言われるとストレージなど似たような言葉ばかりになるので
使いたい言葉のわかりやすい代替が見つからない場合はお相手に
サーバーって聞いたことありますか?
と確認してあげて、わかってそうであればそのまますすめ
わかってなさそうであれば軽くでいいので「Webサイト公開するにあたってデータを保存するネット上の倉庫みたいなものです。これがないとWebサイトは公開できないんです。」くらいにかみ砕いて説明してあげるとGood👌
解決策(デザイナーとの絡み)
そしてもう一つ、よくあるのがデザイナーさんと組んだ時です。
言ってないけど察してよ
という状況がよくありますが、問答無用で「そちらさんの仕事なのでやってもろて~」って話なんですよね。
別にデザイナーと喧嘩したいわけでもなく、仲良くクリエイティブしたうえでクライアントにいいもの届けたいじゃないですか。
なので、相手の仕事に文句をつけるようないい周りにならないようにだけ注意しつつ
申し送りとして確認したいことをまとめできるだけ一気に聞いてあげてください。
何件もバラバラでメッセージが来ると、相手としてもストレスがたまりやすいです。
一気に言ってくれ…って感じで。
で、もし確認事項があとから何件か追加されてしまう場合は文頭に
「五月雨式にすみません」などつけてあげると
丁寧な人だな。ビジネスマナーがしっかりついているな。
と割と好印象につながるのでやってみてください。
※フリーランスのコーダーは社会人経験なしでやられる方も一定数おり、一般的な社会人としてのビジネスマナーを知らず言葉がラフすぎる方もいらっしゃいます。それが悪いとは言いませんが、お相手の属性によって対応のラフさや距離感の近さは調整すべきではあるため、最低限の言い回しや伝え方は知っておくと、他フリーランスとの差別化にもなるので意識してあげてください。
私が案件の時によくやるやり取りの例として画像貼っておきますね。
この例は文章しか写してないですが、実際は該当箇所の画像を添付すると相手との認識齟齬もだいぶ少なく進めれます。

実際はこの申し送りのようにかなりデザインを見てコーディングに落とし込んでから着手するのが理想です。
大半の人がデザイナーやクライアントと齟齬が発生する理由はコーダー側のデザインの事前確認の甘さにあります。
デザインカンプを連携してもらったらすぐにコーディングに着手するのではなく、コーダー側でチェックしてあげるくらいのノリで細部まで数字の違い等ないか見る癖をつけていってくださいね!
③ 視覚情報が足りない
➁で話がだいぶ盛り上がってしまいましたが、戻します(笑)
相手に伝わらない件について、3つ目の要因としては
テキストだけで伝えようとして、結果的に曖昧になってしまう。ということです。
何個か前の記事で「できるコーダーとは」の中でも話しましたが、
人は長文を読みたがりません。
長い文章でいくつもいくつも確認されたりすると
都合のいいように解釈して読み飛ばされてしまうということもザラにあります。
仕事なんだからちゃんと読んでくれヨッ😡
って気持ちはありますけどね。
解決策
クリエイティブの話をテキストだけで伝えるのは難しいです。ビジュアルがあるものは、ビジュアルで返すのがベスト。
画像添付したり、スクショに矢印や文字入れしたものを送ったり、該当のデザインのURLを添付したり、できることはいろいろあると思います。
相手とやり取りする中で「あ、この人全然見てくれてないな…」と察したらこういった対応をするのが一番丸い対応だったりもします。
相手を強制するよりこちらで巻き取れることはしてあげたほうが早かったりもしますしね。
もし、お相手と今後長く関係を続けていく場合はどこかのタイミングで
ご確認いただく中で、万が一わかりづらい部分がありましたら、こちらでも伝え方を見直したいと思っております。
もしすでにご確認いただいていたら恐縮なのですが、下記の内容について念のため再度ご確認いただけますと幸いです!
みたいな感じで相手になんとなーく伝わるように相手にくぎを刺しつつ、自分も直せるところは直したい
みたいなスタンスが取れたら最高-!
フィードバックの伝え方(まとめ)
スクショ or 図解で「ここ」と明示する
例えばFigmaやXDを使っているなら、コメント機能で直接該当箇所にピンを打つ。
あるいはスクショをとって、該当箇所に矢印を入れるだけでも、伝達精度が爆上がりします。
見せながら伝える、が基本。
くらいのマインドでいましょう~
修正の“意図”まで伝える
- ❌「ここをマスクのかかっていない元の画像をください」だけではなく、
- ✅「レスポンシブで画像を自動トリミングできるようにすると、拡大された画像の箇所が出てきてしまいサイトのクオリティが下がってしまうため、もと画像をコーディングでくりぬく形で使用したいです。そのため元の画像をいただきたいです」と理由を添える
修正指示が「なぜそうするのか」まで伝われば、他の類似パーツへの対応も任せやすくなります。
曖昧な言葉を避けて、具体的に
抽象度の高い言葉には形容で言い換えをしてあげる。
そしてその形容の中にも「こうしたい」という要素が詰まっているはずなのでできるだけ
「フォントを細くしたい」「余白を広げたい」「カラーコード #AAAAAA に」「アニメーションをもっとゆっくり」みたいに具体性のある部分まで自分の中で落とし込めるまでヒヤリングしてあげてください。
伝え方を“操作ベース”にすると、相手が迷わず動けます。
相手にしてほしい動きに着地するようにアクションを決めてあげるようなイメージです。
複数指示する際はわかりやすく簡潔に
一気に10項目以上指示すると、相手も混乱します。
Discordのように太字が使えたりするのであればチャットツール内の機能を使ったり、
重要箇所を絵文字で囲ったりするのもやり方の一つです。
また、MTGの時に伝えるべき内容と文章ベースで伝えるべき事柄を分けてあげるのもおすすめです。
長文になるということはこちらから伝えたいことが多い、もしくは内容がつかみきれてない場合が大半。
MTGの時に伝えてもいいし、MTGを好まないお相手の場合は画面録画でトークを入れて動画にしたものが一番効果的かもしれません。
「よかった点」も一緒に伝える
これ、地味に大事です。
指摘ばかりだと相手も疲れますし、私たちも疲れます。
なので「この伝え方、すごくわかりやすかったです!助かりました!」みたいなことでもいいのでやり取りのスムーズさが欠けてきたとき、相手のいいところも入れてあげて指摘や修正指示、確認事項を送ってあげると円滑に進みます。
心理的安全性があると、やり取りの精度もスピードも上がるって感じです!
さいごに
- フィードバックが伝わらない原因は「曖昧さ」や「前提のズレ」にある
- 視覚的に、かつ具体的に伝えることが大事
- 意図と背景を伝えることで、精度も信頼も上がる
「フィードバックを出すのって難しいな…」と思ってる人ほど、伝え方のテンプレートを持っておくとすごく楽になります。
制作の現場では、「伝える力」も立派なスキル。
ぜひ少しずつ、磨いていきましょう◎
